カ行／高齢出産と利き手

高齢出産をすると左ききが生まれる確率が高くなる？

バースストレス（birth stress）と利き手

　『左利きは危険がいっぱい』の著者で、日本でもセンセーショナルな話題を振りまいたカナダのスタンレー・コレン教授は、40歳を過ぎてから出産した子どもが左利きとなる確率が高いと明言しています。
　 その理由については、高齢での妊娠や分娩の難しさが左利きの赤ん坊を出産する高い確率ををもたらすという理論的根拠に基づいています。
　コレンは自らの調査研究を通じて、３０歳から３５歳までの妊婦が左利きの赤ん坊を生む確率が通 常３５パーセント以上であるのに対し、３５歳から３９歳の妊婦に至っては６９パーセントにまで増加しているとしています。そして、４０歳以上の妊婦において左手利きの赤ん坊が授かる確率は、なんと通 常の２.３倍（１２８パーセント増）にも達するのです。
　他にコレンが挙げた理由としては、長引く出産時間、未熟児、そして様々な赤ん坊によって経験されたトラウマ（精神的外傷）などがあります。そしてよく知られたところでは、右手の動きを司る左脳の発達の微細な遅れなどがあげられています。
　ところで、 １９９０年７月２１日号の『ニューサイエンティスト』誌において、コレンは野球選手、特に投手についての広範な調査研究を通 して見出した結果を報告しています。
　 左投げの投手は右投げの投手よりも約０．５インチ背が低く、体重においては約３ポンド軽いという事実ですが・・・。しかし、実に興味深いこととは、コレンによる膨大なラテラリティに関する調査において近年発見された新事実の多くは、過去にその分野において先達が発見したものの単なる焼き直しにすぎませんでした。

• 八田武志『左ききの神経心理学』1996年,医歯薬出版
• スタンレー・コレン『左利きは危険がいっぱい』1994年,文芸春秋