あ行／遺伝
利き手は遺伝するのか？（その１）
両親の利き手が子どもの利き手を左右する一因？
どうして人間には利き手があり、しかも少数派として左利きが存在するのか？ もっとも素朴かつ難解な疑問ではありますが、比較的、誰もがその一因として考えるのは「遺伝」ではないでしょうか？
「両親とも左利きなのになぜ？」「いや両親とも左利きなのに子どもは右利きだ」......etcいろんなパターンが考えられます。
当サイトのBBSでも、こういったケースにかんする質問がありましたので、ここにとりあげてみることにしました。
そこで、ポラックとコレンという二人の学者によってまとめられた、両親の利き手の組み合わせと子どもの右利きの出現頻度、および双生児における利き手の一致率（こちらに関しては今回は割愛）についての過去の研究資料の集成（1981年）を紹介してみましょう。
「両親の利き手の組み合わせと子どもの右利きの出現頻度」
・右利きの父×右利きの母の場合・・・88パーセントの子どもが右利き
・右利きの父×左利きの母の場合・・・73パーセントの子どもが右利き
・左利きの父×右利きの母の場合・・・79パーセントの子どもが右利き
・左利きの父×左利きの母の場合・・・60パーセントの子どもが右利き
以上の資料からいえることは、左利きどうしの親だからといって、そこから生まれる子どもが必ずしも左利きにはならないことが、まずあげられます。ただし、これには遺伝的な説明のみならず、両親が左利きという環境的な要因も考えられます。
次に、父親よりも母親の利き手の影響を子どもが遺伝的にも環境的にも受けるのではないかという点です。いずれにせよ、少なからずとも両親のいずれかが左利きであれば子どもが左利きとなる確率は高くなると考えられるといっていいでしょう。
今のところ、「遺伝説」が利き手の要因として決定的であるとはいえないようです。しかし、有力であるといえなくもありません。
ところで、「遺伝」という問題について考えるうえでどうしても無視できないのは「優性」とか「劣性」といった遺伝形質についてです。遺伝形質と利き手にかんする仮説については、「利き手は遺伝するのか？（その２）＜予定＞」という形で、また回をあらためて紹介いたします。
参考文献
『かくれた左利きと右脳』坂野登，青木書店，1982年
お得な／お役立ちな情報がいっぱいです
