昨年（２００９年）のナショナルジオグラフィック ニュース日本語公式サイトに掲載されたニュースに，

「“左利き”の生き残り戦略」

なる記事がありました。

記事そのものは，イギリスやフランスの研究者による左利きについての報告が記事の主な内容です。左利きは右利きに比べて「統合失調症、てんかん、自閉症、学習障害といった病気のリスクが高まる」といった，１９９０年代に多く議論が集まった左利きリスク増大説。右利き中心の社会ゆえに高い，重大な事故への遭遇率。左利きの平均身長は右利きに比べて低い場合が多く、女性に対するアピール力が弱い。

そうしたネガティブな要因を挙げるいっぽうで，暴力による殺人の統計調査から，スポーツにおいても「“まれ”な左利きに相対すると左からの攻撃に不意を突かれてしまう。これが左利きに有利に働く」といった報告や，「左利きのフランス人男性は右利きよりも平均収入が高い」といった調査報告もあります。

ネガティブな要素としては「女性に対するアピール力が弱い」といった推測もあったのに，収入という面では「収入の高い左利きはより多くの子をもうける可能性があり、結果として左利きが増えていくことになる」といった見解も紹介されています。

いずれにしても，紹介されている欧米の研究では，どうしても「ストラテジー（戦略）としての利き手」という視点がぬぐい去れず，今ひとつ新しいパラダイムが創出されていないというのが現実でしょうか？

むしろ，

「私は左利きなんです。どうか慣れてください」

アメリカ大統領として初めて公式文書に署名するとき，オバマ大統領が発したジョークのなかにある「左利きに慣れる」という過程がどういったものなのか？　そこに関心がある今日この頃です。

　

■「“左利き”の生き残り戦略」
　ナショナルジオグラフィック ニュース日本語公式サイト